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皿倉山  八幡東区  〔2016/08/20〕
 

 
皿倉山は標高622mの北九州を代表する山です。皿倉山を含む連山は東西に山裾は広がり、北側には洞海湾を挟んで石峰山地があり、南に尺岳を経て福智山に到る山地が連なっています。皿倉山を中心に権現山、帆柱山、花尾山の隣接する4つの山は、帆柱自然公園として整備されています。また、企救山地の足立山から風師山、カルスト台地の平尾台、そして皿倉山から福智山の福智山地が北九州国定公園になっています。

北九州には神功皇后伝説が数多く残されています。山頂から北東に下りて行き、大蔵方面からの登山道を少し下りて行くと大岩があり、その下は絶壁で視界が開けています。その岩を国見岩と呼びます。神功皇后がこの岩の上から夕暮れまで国々を眺望しました。下山の際、皇后が「更に暮れたり」と言ったことから、更暮山・更暗山と転じ、皿倉山になったと伝えられています。

皿倉山の登山道は、1937(昭和12)年に開通しました。それは軍事的要請によるものでした。洞海湾岸にある八幡製鐵所をはじめとする八幡地区の重工業地帯の防空のために、戦時中、高射砲陣地が洞海湾を挟む北の石峰山と南の皿倉山周辺に設営されました。1945(昭和20)年8月15日終戦となり、日本にとって戦後しばらく復興のための苦しい期間がありました。

1952(昭和27)年八幡市は都市計画風致公園として帆柱公園を開設しました。1970(昭和45)年9月農林省は皿倉山・福智山一帯を北九州自然休養林に指定しました。国立公園に準じる景勝地として、自然公園法に基づいて環境大臣が指定するのが国定公園です。北九州国定公園は1972(昭和47)年10月に指定されています。

皿倉山の北側の洞海湾に到る傾斜は険しく、そのため皿倉山は眺望がすばらしい山で、その夜景は100万ドルの夜景と呼ばれ、時代が進むとインフレにより100億ドルの夜景になりました。山麓からケーブルカーで山頂下までに上れ、更にスロープカーを利用すれば、誰でも苦もなく山頂に着くことができます。舗装された皿倉山登山道近くの麓から山上にかけて、1957(昭和32)年11月帆柱ケーブルが開業しました。2001年(平成13年)6月からは新型車両で運行されています。2015(平成27)年4月からは帆柱ケーブルから皿倉山ケーブルカーと名称が変更されました。ケーブルカーは5分間で、標高差441mで1,100mの距離を上ります。

皿倉山ケーブルカーの山上駅から少し舗装道を下って行くと、左手に歩いて山頂への登山道があります。そこを少し登ると、野口雨情詩碑があります。1957(昭和32)年11月建立されています。1932(昭和7)年、詩人の野口雨情が門下生の阿南哲朗と一緒に帆柱山に登った際に、帆柱山に残る神功皇后伝説を題材に作った、「くきの海辺」の詩が刻まれています。
「くきの海辺の船もいい 船も帆がなきや行かれない お供についたくまわにが 山で帆柱きりました その時きつた帆柱は 帆柱山の杉でした」
「くまわに」はこの地の豪族、崗県主(おかのあがたぬし)の先祖、熊鰐のことです。崗は遠賀の古い呼び方です。熊襲征伐で仲哀天皇と神功皇后が豊浦宮から九州に向かって出発の際、熊鰐は出迎えに行きました。

皿倉山の南西に標高618mの権現山があります。その8合目を一周する道の権現周回路を北西に行った所に杉の古木の林が4ヘクタールにわたってあります。これらの杉を総称して皇后杉と呼びます。樹齢は200~400年といわれ、福岡藩による造林の名残ともいわれています。神功皇后が朝鮮出兵の際、船の帆柱を切り出したことから、権現山の北西の標高490mの山を帆柱山と呼びますが、この故事からこれらの杉の巨木を皇后杉と呼びます。

1958(昭和33)年9月皿倉山展望台が山頂に設置されました。1964(昭和39)年ケーブルカーの山上駅から山頂にかけてリフトが新設されました。リフトが老朽化してくると、2007(平成19)年12月28日スロープカーが新設され、開業しました。スロープカーは斜面を上っても、車内は水平です。定員は40名で、159mの距離を3分間でゆっくり運行し、展望台駅に着きます。スロープカーは1両で往復します。

ケーブルカーの山上駅から南西に下りて行った所に国民宿舎山の上ホテルが1961(昭和36)年8月開設されました。しかし、建物も設備も老朽化し、利用客も減少していたため、2006(平成18)年3月閉館になりました。現在そこは皿倉山ビジターセンターとなり、NPO法人帆柱自然公園愛護会によって運営されています。帆柱自然公園の情報を発信し、登山者が休憩したり、催しや会合ができる施設になっています。

皿倉山から権現山に向かうと、その間の鞍部となる台地の皿倉平に着きます。その手前を東に入って行くと森林植物園になります。1990(平成2)年斜面地に主にツバキが植栽されたツバキの森があります。その前の道路の反対側に、1996(平成8)薬用植物の知識の普及のために薬用植物園を八幡薬剤師会が設立しています。薬用・有用植物約200種植栽されています。
県道50号八幡・戸畑線の尾倉交差点から皿倉山に向かって南に進みます。先方は、市道山手線と交差する帆柱登山口交差点です。山腹の右手から山頂に伸びているのがケーブルカーの軌道で、山頂には2階建ての山頂展望台があり、周辺にはテレビ塔が林立しています。
   
帆柱登山口交差点を直進し、坂を上って行きます。突き当たりの帆柱2丁目交差点を右に上ります。皿倉山ケーブルカーの案内がありますので、それに従って、左折して坂を上って行きます。都市高速の上に架かる高架橋を渡りますと、右手に駐車場があります。その先に皿倉山登山道が右カーブします。その先で左折すると皿倉山ケーブルカー山麓駅です。山麓駅の前にも駐車場があります。金・土・日・祝日と平日の一部には、JR八幡駅から無料シャトルバスが山麓駅に着きます。  
   
ケーブルカーはイエローが「はるか」、ブルーが「かなた」と名付けられています。ケーブルカーの窓はもちろん、天井もガラスになっていて、眺望が楽しめます。往復大人800円で、20分間隔で運行されます。

ケーブルカーの運行の詳細は、「皿倉山ケーブルカー」で公式ホームページを検索してください。
中間点で上りと下りのケーブルカーがすれ違います。この先傾斜は一段と急になり、眺望が開けてきます。  
   
ケーブルカーは山上駅に着きます。階段を昇ると、屋上がスロープカーの乗り場になります。スロープカーには乗り場から車内に段差のないバリアフリーになっています。また山上駅からスロープカー乗り場にエレベーターが新設されています。
   
スロープカーの車内からは北九州のパノラマを眺めるように、座席は北側の窓に向いて設置されています。大人は往復400円です。乗り継いで行けば、ケーブルカー山麓駅からスロープカー展望台駅まで10分余りで着きます。ケーブルカーにはエアコンはありませんが、スロープカーにはエアコンがあります。  
   
スロープカーが着いた所は展望台駅で、山頂展望台は2階建てになっていて、屋上は展望テラスで、北九州市内が一望できます。
   
展望テラスから北側の眺めの東側です。右端は八幡製鐵所跡地が再開発された東田です。テーマパーク スペースワールドのスペースシャトルや観覧車が見えます。都市高速を挟んだその左側は八幡製鐵所の東田地区が左に伸びています。中央の洞海湾に伸びているのが、八幡製鐵所の洞岡地区です。その下中央付近がJR八幡駅です。右上の方にぼんやり赤い若戸大橋が見えます。橋の右側が戸畑区で、左側が若松区です。橋の手前の緑の部分は牧山です。その手前は八幡東区になります。
赤白の煙突が3本見えますが、三菱化学黒崎事業所の構内です。中央の煙突の下がJR黒崎駅になります。その下に八幡西区黒崎の市街地が広がっています。煙突の上の水面は洞海湾の奥になります。洞海湾が上にも伸びています。その右側が若松区です。
皿倉山頂からの夜景を見に出掛けました。
 右側が東田で、左側がJR八幡駅付近です。
 左側がJR黒崎駅付近です。
スロープカーが着く展望台駅の隣に皿倉フォトギャラリーがあり、中は皿倉山の写真が掲げられ、椅子が並べられています。  
   
山頂展望台2階は窓の広いパノラマ展望室で、レストランも併設されています。
   
屋上の展望テラスから高低差がなく直接皿倉山頂に行けます。足が不自由でも、屋上までエレベーターがあります。山頂付近にはテレビのアンテナ塔が林立しています。  
   
展望テラスから左に帆柱山が半分ほど見え、その下に二つの低い山が見えます。手前が花尾山(351m)で、右向こうが河頭(ごうとう)山(213m)です。花尾山は、中世の北九州を代表する山城の花尾城跡です。北九州市の洞海湾岸の八幡東区、八幡西区、戸畑区、若松区を含む、かっての遠賀郡を支配していた麻生氏の居城が花尾城でした。江戸時代以前に廃城になりました。
花尾山・河頭山については、「八幡のまちかど」の「花尾山・河頭山」をご覧ください。
皿倉山頂から北東に下りて行きます。すぐ下の皿倉フォトギャラリーの裏手に、1979(昭和54)年昆虫碑が建てられています。図案化したヤノトラカミキリが描かれています。ヤノトラカミキリはカミキリムシ科の甲虫で、昆虫学者の矢野宗幹が帆柱自然公園で発見して命名しました。
   
昆虫碑の前の斜面はパラグライダーが飛び立つテイクオフエリアになっています。皿倉山は響灘からの安定的な風で、パラグライダーのフライトに適した場所です。
山頂から北東に下りてきた所からの皿倉山頂の眺めです。テレビ塔が建ち並んでいます。右端がスロープカーが着く展望台駅がある山頂展望台です。
その先に展望台になった天空ドームがあります。夜になるとイルミネーションが点灯されます。  
   
天空ドームは新たなデートスポットになっていています。
   
天空ドームから南東方向の眺望です。右の一番高い山は標高901mの福智山です。中央は680.6mの竜ヶ鼻です。福智山から竜ヶ鼻にかけてが小倉南区の南端になります。竜ヶ鼻の左隣は平尾台の産業ゾーンで石灰石がセメントの原料として採掘されて山が削られその左隣が保存ゾーンで、カルスト台地の自然景観が保存されています。左の一番高い山は標高711.6mの貫山です。  
   
  天空ドームの先の藪の中の登山道を下って行きます。急な階段の道が続き、間もなく登山道の左手に国見岩はあり、その上に石碑が立っています。石碑の先は絶壁になっていますが、岩の上は絶景ポイントです。右の緑の部分の薄い所はパラグライダーが着地するランディングエリアです。
   
国見岩から北方向の眺めです。八幡製鐵所跡地が再開発された八幡東区の東田です。テーマパーク スペースワールドのスペースシャトルが見えますが、その左側がJRスペースワールド駅です。その左隣の白い円柱状のものが立っているのは東田第一高炉で、1901(明治34)年に火入れされ、その後10回ほど改修されましたが、高炉は近代製鉄発祥のモニュメントとして遺されています。観覧車の道路を挟んだ手前は、北九州市立自然史・歴史博物館いのちのたび博物館です。観覧車の横の手前側はイオン八幡東ショッピングセンターです。その上はスペースワールドです。
国見岩から北東方向の八幡東区から小倉北区の眺めです。右上の銀色に光る屋根は競輪やイベントが行われるメデァドームです。そこから左に行き背後が海で、高層の建物がある所がJR小倉駅付近です。
皿倉山頂に戻ります。山頂の南西角にある登山道から歩いて下りて行きます。ケーブルカー山上駅の近くの一段上に野口雨情詩碑があります。1932(昭和7)年、詩人の野口雨情が門下生の阿南哲朗と一緒に帆柱山に登った際に、帆柱山に残る神功皇后伝説を題材に作った、「くきの海辺」の詩が刻まれています。  
   
野口雨情詩碑の前を下ると、ケーブルカーの山上駅の前の舗装道に出ます。右に行くと山上駅があります。
   
ケーブルカーの山上駅から南西方向の眺めです。右端が帆柱山です。左の鉄塔が建っている山が権現山です。その手前の建物は皿倉山ビジターセンターです。
ケーブルカーの山上駅前の舗装された坂を下ると、すぐ右にカーブします。その左の一段高い所は冒険のもりです。遊具やトリム施設が設置されています。  
   
冒険のもりの前に皿倉山ビジターセンターがあります。
皿倉山ビジターセンターNPO法人帆柱自然公園愛護会の公式サイトは下記の通りです。
http://www.hobashira-aigo.jp/
   
皿倉山ビジターセンターの前を通って、階段の道を下りて行きます。すぐ下に音楽堂があります。階段の道は途中車が通る登山道を横切り、つづら折りの登山道に合流します。  
   
つづら折りの登山道に合流する地点から少し上の左側に馬塚が立っています。裏面に「昭和十九年九月十五日戦死」と刻まれています。戦時中、皿倉山付近には高射砲陣地陣地がありました。軍馬が使役されました。皿倉山登山道は馬車道だったのです。その馬達も戦争の犠牲になりました。さらに裏面には「昭和五十九年九月再建」と刻まれています。
   
皿倉山登山道が坂を下り切った所が、皿倉山と権現山の鞍部の台地、皿倉平です。その手前を左、東方向に下りて行きます。この先が森林植物園の入口になります。  
   
道路の下、右手が薬用植物園になっています。約200種類薬用樹木が植えられています。道路から薬用植物園に入って行きます。水路が築かれたり、庭園風になっています。
   
薬用植物園の植物を一つだけ紹介します。
キハダの樹皮は健胃薬、腸内殺菌、消化不良に使われます。また、外用消炎薬に使われます。
 
   
薬用植物園のはずれにログハウスの休憩所があります。
   
薬用植物園の反対側、道路の左手の斜面はツバキ園です。  
   
皿倉平に戻ります。皿倉平とその先の権現山です。紀州熊野三所権現が勧請された、鷹見神社の奥の院が権現山山頂にあったので権現山と呼ばれました。その下に神仏習合の上宮がありましたが、兵火により焼失したので、本宮を八幡西区市瀬に移したといわれています。
権現山や市瀬の鷹見神社については、「北九州点描」の「市瀬」をご覧ください。
   
皿倉平から振り返ると、皿倉山頂が望めます。  
   
皿倉平を権現山の方向に進みますと、交差点になります。その手前に国見峠の碑が立っています。この先の峠道を左折します。
   
皿倉平から南に下りて来ると、北九州フィールドアーチェリーランドがあります。土・日・祝日に営業しています。
 
北九州フィールドアーチェリーランドの公式サイトは次の通りです。
http://members2.jcom.home.ne.jp/kita9syu-4aland/
皿倉平に戻り、権現山の8合目を一周する道、権現周回路に入って行きます。権現周回路の北に向かいます。権現周回路を500m程行くと、杉林の中のキャンプ場に着きます。
   
キャンプ場の横に炭焼跡の案内が立っています。道から斜面を登ると石積みの炭焼跡があります。  
   
キャンプ場の先に杉の古木の林が4ヘクタールにわたってあります。これらの杉を総称して、神功皇后伝説にちなんで皇后杉と呼びます。
   
その中でも一層巨大な老杉には、注連縄が懸けられています。皇后杉の樹齢は200~400年といわれ、福岡藩による造林の名残ともいわれています。  
   

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