北九州点描

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響町
  若松区  [2013/12/07]
 

若松区の北部海岸を埋め立て、工場地帯の整備と近代化、廃棄物の処理を目指して大規模な土地造成を行う響灘開発が行われました。1973(昭和48)年に新日鐵、三菱化成などが出資した第三セクターひびき灘開発が設立され、事業計画が推進されました。この事業で生まれた土地は、陸地寄りが向洋町、その先、海寄りが響町と名付けられました。それ以前に、八幡製鐵所の鉱滓処理場として埋立てられ、工場地帯になったのが、向洋町の東に隣接している安瀬(あんせ)です。

明治時代まで現在の若戸大橋付近が洞海湾の湾口で、その近くに若松恵比須神社がありました。若松恵比須神社の北側は海岸で、北西の現在の波打町付近まで海岸線が続いていました。その海岸は連歌浜と呼ばれ、室町時代連歌師の宗祇が訪れた地でした。1890(明治23)年若松を石炭積出港にするため、若松築港会社(現在の若築建設)が設立されました。洞海湾の内も外も水深は浅く、湾口付近は北西の風が強く、波が高い状態でした。そのため、沖合遠くまで防波堤を築き、それに沿っての航路を浚渫し、港を浚渫する必要がありました。これらの事業を行うことにより、船舶の入港銭(港銭)の徴収と、埋立地の取得の権利を若松築港は得ました。
その後、官営製鐵所(後の八幡製鐵所)が洞海湾内の南湾岸に創設され、1901(明治34)年操業が開始されました。洞海湾内でも湾口でも若松築港が築港工事を行い、新しい土地が生まれました。ここでは若松の北、響灘沿岸の埋立を見ていきます。明治・大正時代の工事で、連歌浜が埋立てられて新地が誕生し、現在の浜町・桜町・北浜になりました。大正時代に北浜に化学、造船、鉄鋼関係の工場が建設されました。安瀬は、埋立権を製鐵所が若松築港から得て、鉱滓処理場としました。昭和になって北湊が埋立てられて工場地帯となり、戦後、安瀬が工場地帯となっています。
 
二つの地図は、国土地理院発行の5万分の一の地形図(小倉)の一部を使用しました。上の現在の地図と概ね同じ範囲です。左は明治33(1900)年側図で、右は昭和44(1969)年改測、同47(1972)年編集の地形図です。左の地形図で、若松の文字の間に蛭子社の文字が見えます。現在の若松恵比須神社です。その右側に防波堤が築かれています。若松恵比須神社の北側は湾口の浚渫土で埋立てられていきます。当時洞海(くきのうみ)と呼ばれた湾内は港や航路の浚渫土で地図上の白い部分が埋立てられていきました。右の地形図は戦後高度成長期で、安瀬が埋立てられた段階です。北湊や安瀬の洞海湾の対岸は八幡製鐵所戸畑地区で、昭和40年代にほぼ埋立ては完了し、日本における本格的な臨海製鉄所のモデルになりました。この後、若松では響灘開発が行われ、向洋町、響町が誕生しました。
国道495号線は、若松駅前で国道199号線から分岐して若松南海岸を通り、若松区役所前を北上します。更に浜町と北浜の境界を西に行き、波打町交差点手前から北に方向を変えて来た所がここになります。国道495号線の右手は北湊町です。次の交差点で国道495号線は左折して、西に向かいます。後程国道495号線を西に行きますが、その前に反対側に右折して東に行きます。その辺りは安瀬です。
   
国道495号線が西に向かう交差点を反対側東に向かいます。工場地帯なので、信号機が付いた交差点は限られています。しばらく進み、次の十字路を右折し南に進みますと、すぐまた十字路に出ます。そこは国道495号線波打町交差点を右折して、北湊町の工場地帯の中を進んだ道との交差点です。そこを更に南に直進しますと、泊地の北湊の北側に出ます。北湊は東側の洞海湾に開口しています。南側は北浜で、西側は北湊町、北側は安瀬です。北湊の周囲は工場や海事会社の埠頭ですが、一部この前の様に小型船の係留施設もあります。
国道495号線が西に向かう交差点に戻り、西に進みますと、安瀬交差点に出ます。安瀬交差点の先は向洋町です。その交差点を右折し、北に向かいます。すぐ左手に北九州エコタウン実証研究エリアがあり、そこに続いて北九州エコタウンセンターがあります。手前が本館で、奥が次世代エネルギーを紹介する別館です。
北九州は四大工業地帯のひとつとして、高度成長を支えましたが、1960年代深刻な公害に見舞われました。その後、公害を克服しました。この経験をもとに、北九州市は、1997(平成9)年から資源循環型社会をめざすエコタウン事業を、響灘地区を中心に展開しています。
 
   
エコタウン事業の中核施設であり、学習拠点が北九州エコタウンセンターです。2001(平成13)年に開設されました。本館の中の展示ルームの様子です。エコタウン事業の内容や環境関連企業を紹介し、リサイクル工場の見学を受け付けます。
別館は次世代エネルギーパークで、エネルギー供給基地や次世代の様々なエネルギーの取組みを紹介しています。
北九州エコタウン事業については、次の公式サイトをご覧ください。
   http://www.kitaq-ecotown.com/
   
北九州エコタウンセンターを北に進みますと、響町と向洋町・安瀬の間の水路に響灘大橋が架かっています。響灘大橋の先が響町です。次の交差点を左折しますと、響灘ビオトープがあります。駐車場があり、奥にネイチャーセンターと呼ばれる建物があります。そこで響灘ビオトープ入園の受付と写真などが展示されてビオトープが紹介されています。ネイチャーセンターの前を通って、響灘ビオトープに入って行きます。南の方に一段高い見晴らし台があります。そこが観察コースの南西端になります。そこから南方向の眺めです。
遠くの左側の山が、八幡東区にある標高622mの皿倉山です。その方向が真南です。斜面地の住宅は若松区の北側の住宅地です。右手の緑は、水路の向こうの林です。その手前に淡水池が東西に広がり、そこが響灘ビオトープの南端です。
見晴らし台から北東方向です。ブリヂストン北九州工場が見えますが、その南側に響灘ビオトープは位置します。東西の幅は左側にこれの3倍の広さがあります。右側の赤白の棒状のものが立っていますが、その下に見える屋根がネイチャーセンターです。見晴らし台下に見える十字路は観察コースの大通りで、十字路の上の部分、すなわちビオトープの約1/6の北東部の園路が観察コースになっていて、他の部分は立入り禁止です。
ここは1980(昭和55)年に埋立が始まり、1986(昭和61)年埋立が完了しました。何も整備されていない埋立地は凹凸の状態でした。そこに水が溜まり、鳥が飛来して植物の種が運ばれ、木や草が茂り、昆虫が来て、小動物が棲みつくようになりました。平成16年度から21年度にかけて覆土して基盤整備が行われ、2012(平成24)年10月に日本最大級のビオトープ、41haの響灘ビオトープが開園しました。特筆すべきは、絶滅危惧種の昆虫ベッコウトンボ、タカ科の鳥類チュウヒの生息が確認されたことです。
響灘ビオトープの公式サイトは次の通りです。
   http://www.hibikinadabiotope.com/
響灘ビオトープの前の交差点を東に進みます。ひびき灘臨海工業団地を東に進みます。大通りを道なりに東端まで進みます。東端の南側に総合環境コンビナートがあり、その奥に響リサイクル団地があります。響町の東端の防波堤から北東の眺めです。この辺りが関門海峡の西口になります。左側は小倉北区の馬島です。その右横の一段高い台状の島が山口県下関市の六連島です。その横に六連島のタンクが見え、その手前右が馬島の南にある無人島の和合良島(わごらじま)です。
来た道を戻りますが、鋭角に交差する交差点がありますので、そこを鋭角に左折し直進しますと、突き当たりが埠頭になっています。その辺りが洞海湾の入口になります。対岸は新日鐵住金八幡製鐵所戸畑地区です。紅白の煙突の向こうに見えるのは門司区の標高517.8mの戸ノ上山です。  
   
埠頭の手前の右手に軍艦防波堤があります。戦後、響灘の荒波が洞海湾に入らないように、防波堤を築く必要がありました。資材が不足していたため、1948(昭和23)年9月、不要になった軍艦を防波堤として沈めました。北から冬月・涼月・柳の3駆逐艦が沈められました。現在は、柳だけを見ることができます。他の2艦は北側の岸壁の中になっています。奥に若戸大橋が見えます。その上の山は皿倉山です。
   
響灘ビオトープの前の交差点まで戻り、右折して北に向かいます。道なりに右にカーブします。その箇所を直進すると、風力発電の風車のある海岸に出ますが、後程訪ねます。右にカーブして進みますと、展望台があるこの建物が左手に見えますので、左折します。
白島備蓄基地を管理する白島国家石油備蓄基地の事務所があり、その先に、この白島展示館があります。館内では、白島国家石油備蓄基地や石油についての展示があります。展望台からは響灘が一望できます。
 
   
白島展示館の裏手は響灘北緑地になっていて、その先は響灘です。東には先程の六連島や馬島があり、そこを北側に眺めていくと、この眺めになります。右は小倉北区の藍島(あいのしま)です。左は下関市の蓋井(ふたおい)島です。蓋井島の左がここからの正面で北々西方向になり、かすかに白洲灯台が見えます。そこから西に見ていくと白島が見えます。
藍島、白洲灯台については、「北九州点描」の「藍島」をご覧ください。
海岸沿いに風力発電の風車が並んでいます。白島展示館の側の風車が東端になります。2.5qの間に10基あります。新日鐵住金の関連会社エヌエスウィンドパワーによって建設されました。平成15年3月より運転を開始しています。風車は、3枚の羽根で、羽根の長さが30m、地上からの高さは100mです。年間の発電量は3,500万kw、10,000世帯の年間消費量に当たります。
先程の道がカーブしていた所を海岸に入って行きますと、風力発電の風車の東端から3番目の下に出ます。海岸沿いは響灘北緑地になっています。そこから白島を眺めます。左手北西方向に二つの島が見えます。右の大きい方が白島の男島、左の小さい方が白島の女島です。こちらは白島の男島です。白島の男島には、エネルギーの安全保障に対応するため、白島国家石油備蓄基地が、1996(平成8)年、10年以上を要して完成しました。防波堤に囲まれた泊地内の大型浮体式貯蔵船により、石油は備蓄されています。
   
西側の海上に風力発電の風車が見えます。洋上風力発電の実証実験施設です。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と電源開発がコンテナーターミナルがある響町3丁目の沖合1.4qに風力発電の風車と観測塔を建設しました。日本海の風の特性や塩害対策の技術開発のために水深14mの所に建設されました。2013(平成25)年6月に稼働し、500万キロワット/時の発電は九州電力に売電されます。  


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